フィギュアスケートファンの資料庫

フィギュアスケートの採点に納得がいかない、ちゃんと考えたり主張するための資料が欲しい、というとき役に立つようなサイトにしたいと立ち上げました。まだまだコンテンツは少ないですが、だんだん充実させたいと思います。また、書式の不統一や読みにくさにいつてはおいおい改善したいと思いますので、よろしくお願いします。ここで扱うのはシングル競技に絞らせていただきます。

ISUレフェリー研修について

ぶろぐ「ロンドンつれづれ」さんより

https://ameblo.jp/popular2/entry-12491026428.html?frm=theme

 

シーズン初めにレフェリーを対象として作られた研修用のビデオの内容について「ロンドンつれづれ」のポプラさんが翻訳して紹介してくださいました。今シーズンの採点の傾向によい影響があると期待したものでしたが……。 

◇レフェリー研修


テーマ:
 ISUが、レフェリーのための研修ビデオを作ったようだ。これはジャッジのためではないが、同じようなビデオをぜひジャッジ用にも作ってほしい。

 

 その中で、PCSの点数のつけ方について、「ありがちな採点の間違い」として、以下のような点を挙げている。レフェリーは、ジャッジの採点について、10分ほどのミーティングができるから以下の点をチェックすることができる、とスピーカーが話している。 以下は、してはいけないミステイクの箇条書きであるが、全部は書ききれないので、いくつかをご紹介したい。

  • (一番気に入っている、あるいは記憶に残る)たった一つのプログラムを基準に「平均」を決めること
  • プログラムの4回転ジャンプの数で、PCSを高くしてしまうこと
  • 滑走順でPCSを評価すること
  • 前に滑ったスケーターの点数で次のスケーターのPCSを評価すること
  • 滑走の向き、片足滑走を評価することを忘れること
  • 滑走のスピードとパワーだけを高く評価すること
  • 演技の後半のステップシークエンスでの深いエッジ、ステップ、ターンのみを評価すること。これらは演技のすべてにおいてみられるべき!
  • プログラムの一部でもトランジションがない、あるいはほとんど見られないこと(例えば4回転の前など)を見落とすこと
  • スケーティングや体の動きに多様性がないのを見落とすこと
  • 体の動きについての難易度を見落とすこと(難しいヴァリエーションやターンだけではなく)
 
スピーカーはまた、どのブレットポイントがPCSのどの項目に来るかの説明も。 例えば、involvement(プログラムへの強い関与)はパフォーマンスの項目に、Musical Sensitivity(音楽への感度)はInterpretation(解釈)の項目として評価するように、間違えないように、との指導が。 ジャッジパネルに対して明確に説明できるように。 我々は国も文化も専門も違う人たちのあつまりですから、どのようにしてその評価に至ったかを話し合ってみてください。お互いから得るものがあるでしょう、と。 
 
「ベテランのジャッジも新しいジャッジの意見を聞いて得るものがあるはずです。 As a team, to provide most honest, correct and accurate result, with integrity with your knowledge....「(チームとして、あなた方は正直かつ間違いのない、正確な結果を出さなくてはいけません。知識と誠実さをもって。 ジャッジは90秒で審査をしなくてはいけません。採点を出した時、ジャッジングパネルは正しい知識と専門性の上で、その演技に見合った正確な点数をつけるという正しい判断をした、と我々が信頼できることが必要です。」とスピーカーは話した。

 

ここで上げているポイントは、今年に入っての試合での審査で、ファンがイライラしたポイントでもある。 ということは、実はISUもジャッジたちのPCS審査のおかしさは気が付いていた、ということなのである。ファンが「この審査、大丈夫?」と信頼することができないような一貫性の無いジャッジングでは、審査員の「知識」や「正直さ、誠実さ」を疑わざるを得ない…。ある意味、ISUがそれを認めたということになるのでは?

 

しかし、こうやって、研修ビデオを作り、ジャッジたちの「犯しがちな間違い」を箇条書きにして注意喚起しているということは、ISUの採点ルールが詳細にあっても、ジャッジたちはそれが頭に入ってないんじゃないか、ということを心配しているからだろう。「間違い」かどうかは議論の余地があるにしても、ファンもISUの努力は認めたいと思うのである。

 

しかし、これはジャッジ用ではなく、レフェリー用のビデオである。採点をするのはレフェリーではないし、試合が始まってしまっては、90秒で採点は行われてしまうので、実際のところレフェリーの出る幕はあまりないだろう。 なので、ぜひジャッジたちに同じ箇条書き項目をしっかり見せて、頭に叩き込んでおいてもらうことが必要である。 

 

そして、PCSだけでなく、TESについてもしっかりと採点のブレットポイントを明確にし、「間違いポイント」をこのビデオのように抽出して、注意喚起してもらいたい。

 

その上でまだ変な審査をするジャッジは、それはもう間違いではなく、確信犯だということになる・・・。

 

このビデオの中でも、honest,(正直、誠実)という言葉を使い、trust (信頼)という言葉を使ってスピーカーは話している。 ジャッジの中には故意に不正と思われる採点をしているとISUが考えているということだろう。 あるいはファンの声が聞こえているのかもしれない。 採点スポーツとして、審査が不正だと思われてしまえば、ファンは離れてしまう。 そうなれば、観客やスポンサーの数は減ってしまうであろう。

 

大きなルール改正があった昨季の審査は、やたらに回転不足に厳しいシーズン序盤から、ダウングレードのジャンプまで「見落として」GOEをつけるような国別で終わるという一貫性のないものだった。

 

ビデオを見る限り、一応ISUもジャッジの質の向上をめざす努力をしているように見えるので、期待を裏切らない採点が行われることを祈りたいと思うのである…・。